Ives Universe Symphony Japanese title text

日本語

「交響曲の伝統と«ユニヴァース交響曲»
チャールズアイブズの壮大な最後の交響曲が西洋古典音楽の交響曲の発
展史の中でどのように位置づけられるか。

 

ピッチと時間:
チャールズ・アイヴズの《ユニヴァース交響曲》のリリースに寄せて
ジョニー・ラインハード


チャールズ・アイヴズ(1875-1954年)は、アメリカで最も著名な交響曲の作曲家とされ、
彼の《第四交響曲》は、後のどの同国人の業績にも優るものであると言える。彼は、この
《ユニヴァース交響曲》でもって 躍進的な飛躍を遂げた。ラインハード版が初めて録音されたのが
このCDである。初めての商業上のリリースであるこの録音によって、我々は、彼の作曲上の様々な
独創的試みを聴くことができる。広範囲にわたる新しい研究の結果であるこの版は、アイヴズ協会に
よって認められているアイヴズ自身による現存のスケッチに見られるものに何ら新しい音譜を加える
ものでもなく、又、作曲家自身による器楽編成の変更もしていない。アイヴズ自身が明確に想定した
この並外れた作品は、実際、その独創性において実に驚くべき作品であるということが、今や
はっきりと理解できるであろう。

読者の一部は、《ユニヴァース交響曲》が録音されたものが既にあるのではないか、と問われる
かもしれない。確かに、その名をもつ録音がないことはない。しかし、それは、アイヴズの想像力の
要素を自己の作曲の材料として使ったラリー・オースティンという別の作曲家の作品であると
言った方がよいと思える。アイヴズが望んだ通りに具現されるためには、《ユニヴァース交響曲》は、
アイヴズの非常に詳細にわたる指定に忠実に従う必要がある。スコアに対する私の事実上の貢献は、
自身で作品を完成させるに足る体力がなかった作曲者が完成のために必死に供給した無数の事項に
比べれホ、かなり小さいものである。


通常、交響曲を演奏するオーケストラは、二本ずつの木管、金管、二つのパートを受け持つ弦楽器、
そして四人までの打楽器セクションのアンサンブルである。《ユニヴァース交響曲》は、
そのような決まりから大幅にかけはなれている。アイヴズは、この曲を‘いわゆる音楽’ではなく
‘創造についての絵画’であると描写している。この巨大な曲が指定しているのは(各々が
それぞれのパートを持った)フルート9本と、オーボエ2本、ファゴット5本(うち2本が
コントラ・ファゴットを兼ねる)とクラリネット3本(うち1本がバス・クラリネットを兼ねる)、
ヴァイオリン8、ヴィオラ5、そしてチェロ4とコントラバス3という比較的少ない弦楽部である。
拡大されてはいるものの、ただ金管楽器グループのみがロマン派音楽のオーケストラの伝統に
従っており、トランペット5本、ホルン4本、トロンボーン4本、そしてチューバ2本である。
キーボードは、ピアノとオルガンとチェレスタを含む。1966年6月6日のニューヨーク市
リンカン・センターにおける《ユニバース交響曲》の初演では、14人の打楽器奏者が必要とされ、
打楽器の壮大なスペクトルを創出した。

通常、交響曲は、間に休止をはさんだ三つから四つの楽章に分かれているが、《ユニヴァース交響曲》
は、それぞれ異なった長さのプレリュ-ドに先行される三つの大きな部分に分かれている。
始まりの序曲的な部分は、宇宙のパルス、大地のオーケストラ、天空のオーケストラという、
全オーケストラを構成する三つの概念的オーケストラのモチーフを導入する。まさに、伝統的構造
自体が形ァ上的にくつがえされた。従来、ラルゴと指示されていた四分の四拍子は、メトロノームで
30に合わせられた四分音符に変えられる。そのような低速のメトロノームというのは、現実には
あり得ないので、これは実にゆるやかな拍子である。

《ユニヴァース交響曲》は、打楽器のみによって規定され、16秒の時間枠を繰り返す基本
ユニット(BU)に基づいた宇宙のパルスと呼ばれる画期的なリズム網構造を有する。プレリュード
#1は、ほぼ打楽器のみで30分にわたる。あたかも自然の力のごとく、それは曲の終わりまで
つづく。

見ている者にとって驚きなのは、第一指揮者の2秒拍は、視覚的には、まれにしか、実際に
打楽器が打ち鳴らされる時にも、外のどの楽器の始まりにも連動しない。これが素数の利点で、
アイヴズは13、又は43(下記のリスト参照)というような異なった数の分母で16秒時間枠を
割ってできる、特異な小区分の一つ一つに異なった打楽器を指定している。各セクションが
特別に指定されたリズムに従いつつ、それを通じて各々のセクションが聴こえて来たり、
消え入ったりするすばらしい仕組みである。

各打楽器に割り当てられた16秒基本ユニットを分割する数



低音鐘 ―1区分
ベース・ドラムとシンバル/ベース・ドラム -2区分
低音ゴング ―3
ベース・ドラム ―4
ティンパニー ―5
トライアングル ―12(6区分ではなく)
高音ゴング ―7
丸太ドラム ―8
ピッコロ・ティンパニー ―9
インディアン・ドラム ―10
スネア・ドラム ―11
2種の金属パイプ ―12
高音のもろい木材 ―13
中型小シロフォン?  ―14
粘土製のパイプ ―15
異なったサイズの木製ブロック、木板 及び木の桶 ―16
低音シロフォン -17
大型タンバリン ―19
小型トライアングル ―21
ウッドブロック ―23
高音のベル ―29
吊るしたシンバル ―31
ガラスのコップ ―37
太鼓の縁 ―41
小さい鋼鉄の棒 ―43

曲全体には、10の打楽器サイクルがあり、逐次一つの音色毎に加えられる。クライマックス
後は、逆に対照的に一つずつ除かれていき、最後に一つの低音の鐘のみとなり、これに従って
起こる残りの基本単位BU(16秒)の沈黙に終わる。《ユニヴァース交響曲》のごく初期の
メモから判断するに、アイヴズは、早くは1913年に彼のパーカッションサイクルの
ポリリズムを発展させていたことが分かる。そして更に、宇宙の発展とその複雑さを標題音楽的に
模すために、それぞれのポリリズムをもつ混合拍子を非常にはっきりと綿密に創り出した。
他の楽器は、脈動する打楽器群の上に重ねるように詳細に計画された。

アイヴズが求めた特異な音色は、純正調律器、特別に調音されたハープ、木箱の上にリズミカルに
落とされる桶(サイクルIでは一秒毎に、サイクルXではリズミカルに変化をつけて)、四分音程に
調整されたティンパニー、‘大理石板’のための特殊な指示(サイクルVIIの打楽器のための
即興的カデンツァに含まれている)を含む。この録音では、持続する倍音列和音を弾くために
ギターが用いられた。ハープ奏者が演奏半ばで調律を変えるために楽器を取り替え、後に再び
元の楽器にもどるというような、実に独特なことがいくつか行われた。サイクルIIでは、低音
ティンパニーがAを四分の一音上げるのに対して、サイクルIIIでは、ピッコロ ティンパニーは
Eを四分の一音下げる。大理石板の音は、増幅されることにより一層の聴き応えが出て、サイクル
VIIIの打楽器の即興カデンツァに非常に興奮に満ちた終末をもたらす。オーケストラ全体が
サイクルIVで導入される。低音の楽器は、大地のオーケストラを構成する。フルート、
ヴァイオリン、ヴィオラ、ふいに現れるクラリネット一本、調律されたベル一組、そして
チェレスタは、空間的に特別な‘天空のオーケストラ’の中にちりばめられるために、それぞれの
異なった時間帯に配置される。このような特殊な音楽的現実において、《ユニヴァース交響曲》は、
我々のこの物理的宇宙の壮大さと輝くばかりのすばらしさを描写するためのアイヴズ自身による
企てに従って、特定の音域と音質、及びユニークなリズム構成に基づいて、三つの概念的な
オーケストラを並列させている。

四分音符は、今やメトロノームの45に合わされる。そして、天空のオーケストラは、大地の
オーケストラの二つに対置して、三つの小節をもつ。

遠大な音楽的意図は、チャールズ・アイヴズの作品には、共通のものである。彼の
《ユニヴァース交響曲》は、彼の他のいくつかの交響曲作品と比べると、全く外部からの音楽的
引用が見られない。大規模で連続的な標題音楽であるのに、綿密に抽象的な作品である。
アイヴズの他の交響曲は、《ホリデー・シンフォニー、ニュー・イングランドの三つの場所
(オーケストラセット#1とも呼ばれる)》、と《オーケストラセット#2》のような通常の
番号付けは成されていない。

楽譜は、現存する《ユニヴァース交響曲》のスケッチを研究した結果作り上げられたが、
元イェール大学図書館員で、現在、国際的に知られている指揮者のジョン・モーセリが実際に
アイヴズの手書きのスケッチを忠実に再検討したことに負うところが多い。その上に、トッド・
ヴンデリック(Peermusic)によって念入りに集められたスケッチにより、遂に、演奏用の
楽譜を完成させ、この作品が史上初めて演奏されるに足るパーツを引き出すことが可能になった。
ニューヨーク地域の最も優秀な奏者たちが1966年にリンカン・センターで世界初の演奏を
行い、私自身も編成された‘アメリカ・マイクロトーナル音楽祭オーケストラ’を指揮した。

この録音は、革新的な作曲にとっての革新的な解決であって、その作曲者の創造的希望を
はっきり捉えることのできる視座を与えるものである。アイヴズは、体力の限界にあったので、
彼の作品を他の誰かに完成してもらうことを痛切に望んでいたことに間違いはない。出版された
《ユニヴァース交響曲》についてのメモの中の彼の言葉(個人的なスクラップ・ブックに
含まれるために以前に書かれた)は、それをはっきり物語っている。



「もし私がこれを完成できなかった場合には、誰かがこの考えを実現させたいと思うであろうし、
その際には、この説明と共にこれを見る者は、私が既に作成したスケッチの意味を、より
はっきりと理解することができるであろうから、上記のことに触れておく。」

(アイヴズ、『メモ』108頁)

わたしは、この招きに文字通り応じることにした。想像力に乏しい批評家たちは、このような
冒険的な試みを無謀なものとして切り捨てるかもしれない。彼らは即座にこの曲は、バラバラに
分かれているので、単なるスケッチにしか過ぎないと言うかもしれない。しかしながら、一旦
すべてが集められ、ルースリーフ的に順序立てられれば、特定な詳細にわたる指示はかなりの
実際的問題点を扱いつつ、詳細の‘宇宙’とも呼ぶべきドラマチックな新しい世界を示すことに
なろう。この作品が完全に完成させられるためには、余りに多くの資料が失われ過ぎたと
主張する者にとっては、この録音自体が矛盾であろう。

しかし、足りないものは一つもない。幸いなことに、すべては、作曲者自身によって与えられて
いるのである。



アイヴズの世界に触れる者は誰しも思いがけないことが起こることに慣れるようになるのだが、
この交響曲の一般的調律パターンは、驚くべきことに、従来の十二音平均律にあたるもの
ではない。アイヴズは、南北戦争のバンド・マスターであって、音楽実験にこっていた父の
ジョージから標準的な調律を変容させたり、より良いものに変えることができるということを
早い時期に学んでいた。ヘルマン・ヘルムホルツの音響学上の画期的なOn The Sensation 
of Tone(『聴覚論』)(アレクサンダー J. エリスによる英訳)に触れたことにより
チャールズ・アイヴズは、等分平均律の慣習にとって代わり得るすばらしいものとしての
音楽記譜と調律の微分音的解釈を与えられた。

オーケストラ用の調音は、20世紀において平均律に落ち着いたが、そこに至るまでの道は、
平坦ではなかった。演奏はそれ自体のピッチを発展させることになった。一旦、古典派時代が
基本であったハープシコードによる通奏低音の連続的使用を投げ出すや、アンサンブルの
調律としては、拡張された6コンマ中全音が好んで使われた。鍵盤上全く同音に響く
エンハーモニック音(半音)は、よりきめ細やかな表現をもたらす。Cは、Dと異なり、
従って音楽はより豊かになる。どの音がより高く演奏されるかは、西洋音楽の発展と共に
変化した。

弦楽器奏者が聴いて、即座に音調を整えようとする時、現在では、シャープを高めに演奏する。
開放弦の純正五度音律の伝統に従うと共に、四分の五度を加えて、オクターブを差し引く
ことにより、より鋭い三度が得られるのである。ところが、その反対に、金管奏者は金管の
自然な上音音列に基づいている故に、逆の解釈を好み、四度と五度の間の音程から生じる、
より小さい長三度が与える。
エリスは、26の完全五度から成る拡大されたピタゴラス音律の基礎として完全五度上昇原理を
応用した。エリスは、音楽の譜表記法は、シャープとフラットにそれぞれ異なった意味を
与えつつ、純正調律(中全音律と共に)と、ピタゴラス的解釈(現代の平均律と共に)の
両者のために発明されたという史的事実を証明することに成功した。エリスによる表記法の
考察は、若いチャールズ・アイヴズに彼のオリジナルの音楽の表記に伝統的でない解釈を用いる
ことを促した。エリスが発明した音程計測のための対数目盛りである‘セント(1/100)で
音階を我々が計算すると、オクターブには1200セントある。平均律音階では、各半音は
正確に100セントの倍数であり、BとAの‘半音’は、互いに区別されない。

Note
  Cents
A
  0
Bb
  90
A#
  114
Cb
  180
B
  204
C
  294
B#
  318
Db
  384
C#
  408
D
  498
Eb
  588
D#
  612
Fb
  678
E
  702
F
  792
E#
  816
Gb
  882
F#
  906
G
  996
Ab
  1086
G#
  1110
この録音に使われた拡大ピタゴラス音階をセントで表わすと、次のようになる。
      
‘拡大された’という語は、より多くの半音関係をもつ音のパレットを
もちたいというアイヴズの願いを満たすに必要なより多くの完全五度を
創り出すということを意味する。拡大ピタゴラス音律によって得られる
半音階主義は、従来の十二音平均律に比べて、より大きい協和音とより
豊かな不協和音を共に、聴く者に与える。皮肉なことに、このより豊かな
和声的調律は、嫉妬深い作曲家が実際よりも音楽上のパイオニアであるように
見せかけようとして、大喜びで一層大規模な不協和音を加えるという古い
アイヴズ的イメージとは矛盾する。実際、《ユニヴァース交響曲》の彼の
調性に対するアプローチは、スタジオで長時間の録音に携わった我々が
経験した通り、驚くほど聴きやすい。

拡大ピタゴラス音律を意味するものとして、アイヴズの記譜法を扱うと、
その結果21のはっきりとしたピッチが得られる。(700セントの通常の
等分平均律による五度のそれでなく、702セントの)純粋完全五度を
単に結びつけることにより、閉じられて固定された十二音のセットから離れ、
無限の螺旋に至る。それは、それぞれの螺旋に異なった価値を、 従って、
それに相当する音の高さを生み出す。このようにして得られた聴覚効果は、
アイヴズの製調法の核心に至るためにとられた苦慮に真に報いるものである。

アイヴズは、常に、彼の記譜法を勝手に変える編集者によって悩まされ続けた。
実際、史的記録の中にそのようないくつかの例が見られる。予定されていた
彼の《ヴァイオリンソナタ#3》の出版に関して(アイブズ夫人によって)
書かれた1944年の手紙の中にアイヴズの音響学上のプランについて
はっきりと書かれている。気の毒なチャールズは、折り重なる病のために、
この頃には既に一本の直線すら引けない状態であった。音楽編集者の
ソル・バビッツとインゴルフ・ダール宛に、妻のハーモニー・アイヴズは、
最終的な音楽表記が、特に半音階のつづりに関して、作曲者の意図に従った
正確なものであるよう、それとなく苦慮して書いている。自分が意図した
表記を変えようとする編集者達によっていら立たせられるのがアイヴズの
人生の常であった。彼女の手紙が述べるところは、

「アイヴズは、いくつかのフラットとシャープが入れ替わっていることに対して、
幾分か顧慮しております。主人がシャープとフラットを使うのには、通常、
技術上の、あるいは音響学上等の何らかの理由があるからなのです。もし、同じ
拍節のある部分にDフラットがあって、Cシャープが他の部分にあるとすれば、
それは、主に彼がその当時意図していた、又は、苦心して仕上げようとしていた
音響学上のプランによるものなのです。」(Charles Ives and His World
『チャールズ・アイヴズと彼の世界』ブルクホルダー編250頁)



常に理想主義者であったアイヴズは、彼の後期の作品のほとんどにおいて、表記された
シャープはそれぞれ相当するフラットと比べて高めのピッチに聴かれることを強く主張した。
理想的な状況では、CとDの間に八分の一音の違いがある。

アイブズによって与えられた理想的調律についてのもう一つの鍵はFが最も近くのEよりも
八分の一音分フラットであると解釈されるべきであるとの指示であった。これは、まさに
ピタゴラス音律の場合にそうである。アイヴズが‘ピタゴラス’という言葉自体を使った
わけではないようであるが、彼の書いたものを調べてみると、実際ピタゴラス音律モデルを
彼が意図したことを示している。

最近のアメリカ・マイクロトーナル音楽祭での、《答えのない質問》と《弦楽四重奏#2》の
演奏、及びこの 《ユニヴァース交響曲》の録音のリリースを通じて、ピアノは通常の繰り返しの
可能な十二音を越えることが望ましいとアイブスが奨めている理由を理解することができる。

「もし、(不完全な音程というような)標準的平均律以外の調律に実践性がもたらせられれば、
そして耳がそれを欲するなら、耳は外の100のインターバルをも学ぶことができるはずだ。
そう欲してなぜいけないか。」(アイブズ、『メモ』140頁)



そのような曲を正確に演奏するためには、木管楽器奏者は、異なった指使いを編み出さなければ
ならない。金管奏者はマウスピースを調節したり、それぞれの楽器の管の長さを変える工夫を
しなければならない。しかし、弦楽器は、明らかに調節が最も容易である。この録音における
ピアノとオルガンの調律は、第一ハープが使うのと同じこのピタゴラス音律モデルによった。

リンカン・センターでの初演においては、このように複雑な音楽を指揮することの大きな困難を
経験したわけであるが、今回、スタジオ内録音という形でこの巨大な作品を指揮し、まとめる
という開拓者的な状況は、まさに夢の実現とも言えよう。一度に3~4人の奏者のみの録音しか
できない狭いスペースという限界に直面しながら、私は、ヴィオラ、チェロ、トロンボーン、
そしてアイヴズの求める低いベルに当たるジャワのゴンガゲング(これは10のサイクル全体を
通じてそれぞれの基本単位BUの強拍を打つ)の四人のみの奏者によって始めのコア・グループ
部分を指揮した。冒頭のコア・グループの演奏は、同時にヴィデオとオーディオ・フォーマット
でも録音された。その後の他の楽器を加えるセッションでは、必ずオリジナル・ヴィデオを流し
ながらそれにあわせて録音された。奏者たちは先に録音された該当するトラックを
ヘッドフォーンで聴いた。

生演奏では、第一指揮者の指揮に従って、別個のアンサンブルを指揮する第二指揮者が要るが、
録音では、二台目のヴィデオカメラが先にコア・グループの演奏を録音した一台目と連結され、
該当部分の演奏を流しつつ、各々の小さいアンサンブルの演奏を導いた。120以上のトラックが
組み合わされてステレオ・ミックスとして出来上がったのがこの録音である。各演奏者がその
楽器の他のすべてのパートを演奏した。生演奏では74人の奏者を要するが、この録音では、
19人のみの奏者が《ユニヴァース交響曲》の全体を演奏した。

この《ユニヴァース交響曲》において、アイヴズはアディロンダック山脈で過ごした夏の
休暇での、ある超越的経験を掘り下げて、キーン・バレー高原の視覚的様相の音楽的表現を求めた。
一望の中に大地と、空とそれに続く天空とを対置し、それらを同時に進行させる扱いを模索した、
と言われる。アイヴズは、この高原での経験を《ユニヴァース交響曲》に転成させたのである。
‘宇宙’という言葉にふさわしいこの交響曲は、新しい聴き方への門戸を開く。同時に進行する
異なった音楽を並行的に聴くという新しい聴き方に我々は導かれる。

「風景を一望し、(1)まず、大地、又は前景を意識しつつ、しかし、それらに焦点は絞らずに、
目を空、又は木々のてっぺんに向け、(2)次に、空と前景の上部を意識しつつも、大地及び
陸地を見つめる、というように。つまり、曲は、二つのパートから成り、同時に演奏される
それらは、コントラバス、チェロ、チューバ、トロンボーン、ファゴット等による、主として
聴かれる低音部が大地の観を呈し、弦楽器、高音木管楽器、ピアノ、及びベル等による高音部が
空と天空を表す。」(アイヴズ 『メモ』、106頁)

上記の限られた解説だけでは十分ではないので、いかにこの《ユニヴァース交響曲》が構成された
かについての詳しい説明は、拙著The Ives Universe(『アイブズの宇宙』)を参照されたい。

相原節子訳

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Ives Primer 1: His Life
Ives Primer 2: His Significance
Ives Primer 3: His Universe Symphony
Ives: Short Biography
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Symphonic Tradition And The Universe Symphony, by Johnny Reinhard
Of Pitch And Time: Delivering The Universe Symphony, by Johnny Reinhard
Interview (2005) with Johnny Reinhard about the Universe Symphony

Performers of the Universe Symphony
Recording the Universe Symphony: the producer's note
Recording the Universe Symphony: the sound engineer's note

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Premiere Previews and Reviews:
New York Times June 2 1996
(Richard Taruskin)
New York Times June 8 1996
(Alex Ross)
Village Voice April 5 1995 (Kyle Gann)
Village Voice June 4 1996
(Kyle Gann)
Village Voice June 25 1996
(Kyle Gann)

To Johnny Reinhard's home at the Stereo Society